医学部に再受験するときに一番印象的だったときの話です。
昔にある女性の歌手がインタビューでブレイクする前に数名しかお客の入っていない店で歌ったという思い出話をしていて、それに対してインタビュアーが「それはしんどくて暗い時期でしたね」とコメントすると、倖田來未さんは「いえ、1番輝いていた時期」ですと答えていました。番組を見ていたときは倖田來未さんのコメントの意味はよく分かりませんでした。昔の大学から離脱して、浪人して、医学部入り直した自分なら、「輝いていた」の意味がよくわかります。孤独で先がみえないときに勇気を出して多くの人から理解してもらえない行動して頑張るという受かったあとでは味わうことのできない時間です。あとから振り返ると自分がとてもかっこいい瞬間であったと気付きます。
同じような体験をしているのではないか、していたら話を聞いてみたいと思い探し始めました。
幸運なことに入学後自分の周りにもたくさんの再受験生がいました。さらに毎年何名かは入学してきます。その何人かに「以前の生活を辞めて、医学部に入り直すまでに1番覚えている日はありますか?」って質問したら自分も含めて必ずそれぞれ一つ鮮明に覚えている場面があります。
かなり興味深かったのでご紹介します。
Aさんは医学部に入れず、他の学部に不本意入学します。入学後数ヶ月に一度医学部行きたい発作がでていました。入学後友だちと話をしていると案外医学部に叶わずにここに来たという人たちと出合い安心はしました。年月が経って医学部への気持ちを友だちに聞いてみると、この学部でもいいかなと気持ちが変化し始めてる人がほとんどでしたが、Aさんの中では医学部への気持ちは変わりませんでした。就活が始まり、一層医者とは違う人生が近づいて来るとともに、自室で一人になるとボーッと三角座りの時間がだんだん増えてきました。そしてその日が来ます。モヤモヤしていた気持ちを晴らそうと遠方にでかけますが全く気持ちは晴れず、ついに両親に気持ちを伝えることを決心します。思い立ってすぐに実家に帰ります。時間は夕方。家族とお茶をして、終わったときに説明しようと立ち上がります。しかし、言葉が出てきません。家族が不思議がってどうしたと話しかけます。「どうした?」
「………医学部が諦められないから受け直したい」
「そうか。」
意外にも否定的な言葉は飛んでこずAさんは驚いたそうです。
「なるなら早くなろう」
とも言われ、すぐに大学を休学して、受験勉強を始めたそうです。
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